国道9号より分れて清流の壇具川沿いに石畳の功山寺参堂を十五分位歩く。正面に鬱蒼と茂った木立の中に古びた石段とひなびた平門が目に入る。功山寺総門である。
 総門をくぐると、そこには別の世界がある。足音は土に吸われ時は停止する。参道から見上げる山門の壮麗さ、山門を通して見る国宝の仏殿の微妙な曲線。
 毛利勢に追われて無念の最後をとげた大内義長。三条実美ら五卿の潜居や高杉晋作の挙兵。幾度かの動乱を見守って来た仏たちのつぶやきに心すまし耳を傾けよう。


紅葉の山門

高杉晋作像

大内義長の墓

総門

句碑
圭二
 春は桜の花に、また秋は萩の花にと四季を通して美しい自然のたたずまいの名刹功山寺を訪れる人は多い。その人々を国宝仏殿の本尊、千手観音は大慈大悲・広大無辺の心の暖かい眼差しで見守ってくださるのである。
総門
 功山寺の総門は、木造、瓦葺き、間口4.4mであるが、仏殿の建立につづいて古く、
室町時代の建造物と考えられ、平成16年6月15日に国の登録文化財(再現することが容易でないもの)に指定された(登録年月日、原簿記載:H.16.7.23;官報告示; H.16.8.17;通知:H.16.8.17)。総門の特徴は、本柱を棟木際までのばす禅宗様の四脚門で、国宝仏殿のある伽藍東側正面にある。円形柱座をもつ礫石に円柱を立て、貫で固め、桁行方向の頭貫位置には舟肘木と軒桁を柱頭に入れ、垂木を受ける。軒廻りは大幅に改変されたが、輪郭は室町中期の形式を伝えている。総門の正面には「海右第一峯」という扁額がかけられている。